The Reverberator

EFFORTLESS FRENCH

クィアが他人の自由意思を奪い、クィアの名のもとに様々な恫喝を行い、それによってクィアに都合よく〈利用〉されること──小児性愛者とその利害関係者に〈利用〉されること、そのための〈クィア化〉に対して絶対に抵抗する。その加害の共犯になること/させられることに絶対に抗う。クィアによる「ペドフィリア・ウォッシング」、クィアが仕掛ける「ペドフィリア・ウォッシング」、クィアがそれを他人に強要し、それに加担を迫る「ペドフィリア・ウォッシング」に断固として抵抗する。

 テーブルの上には人形が四つ載っていた。うち二つには、ふつう子ども人形よりは大きくあとの二つはずっと小さかった。着せてある服と髪型から、二つは男で二つは女ということがわかった。

イマキュラータは人形をテーブルの一方に寄せて、子どもに何かいった。そして静かに我慢強く相手を見守った。子どもは小さな人形を一つ手に取ると、のろのろと気が進まない様子で服を脱がせはじめた。が、途中で手を止めた。それから大きい方の男の人形を引き寄せると、その人形に、さっきの小さな女の人形の頭をなでるようなしぐさをさせた。そのまま見ていると、女の子人形は男の人形の手を避けるように身をひいたが、それほど遠くには逃げなかった。そのうち、男の人形女の子人形が服を脱ぐのを手伝いはじめた。男の人形自分ズボンも脱ぎはじめた。その下は無地の白いボクサーショーツだった。子どもショーツも脱がせ、二個の睾丸とペニスをむきだしにさせた。そして、女の子人形を男の人形のほうに押し倒した。

子どもは泣いていた。イマキュラータは動こうとしなかった──が、子どもは何か話かけていた。窓の外では何をいっているのか聞こえない。イマキュラータは子どものほうに手を差し出した。子どもはその手を取った。イマキュラータは、子ども自分のほうへ優しく引き寄せた。そして、膝の上に乗せると、子ども背中に腕をまわした。その間もずっと話かけていたが、やがて子どもはわかったというようにこっくりうなずいた。

イマキュラータは手を伸ばしてさっきの男の人形を引き寄せると、子どもの目の前に置いた。子ども人形をつかむと、泣き叫びながら人形を激しく揺すぶりはじめた。顔が怒りでゆがんでいる。子ども人形を引き裂いた。突然、人形の腕がもげ、その腕だけが子どもの手の中に残った。子ども自分がつかんでいる腕をじっと見ていたが、それをイマキュラータに突き返した。彼女はうんうんというようにうなずいた。子どもはもう一方の腕も引きちぎった。それから腕のなくなった人形に向かって話しはじめた。何かお説教でもするみたいに、しきりに指を振りたてている。その後また、わっと泣き出した。

(……)

「今、おれが見たのは何なんだい?」おれは尋ねた。

「わたしたちは”確認”っていってるけど」

「確認?」

「あの子は淋病なんだけど──伝染性の性病ね。どこでかかったのかを調べるのがわたしの仕事なの」

「で、結局、どういうことなんだい──あの人形の腕は?」

「見てのとおりよ。怒りね。性的虐待された子どもっていうのは、自分を傷つけた人間に怒りを燃やしていることが多いの。ときには、自分たちを守ってくれなかった人間に対してもね。治療の一環として、子どもたちに”ノー”っていってもいいんだ──怒ってもいいんだって教えてやることがあるの。人形の手や脚はヴェルクロでくっつければいいんだから。子どもたちはばらばらにしてしまうかもしれないけど──ほとぼりがさめれば、だいたい、後でくっつけるものよ」

 

アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』 

 

虐待された子どもたちと会って話をするとき……その子たちがどんな目にあったかをきくんだけど……前に人形を使ってやってたのを、あなたも見たでしょう?」

おれは黙ってうなずき、話の続きに耳を傾けた。

「そう、子どもたちがほんとうのことをきちんと話せる年齢になっている場合には、その話をみんなテープにとっておかなくちゃならないの。メモは駄目なの……メモをとっていると、子どもたちの気が散るから……何を書いてるんだろうって知りたがるのよ。それにわたしたちも、裁判になったらテープを出さないとならないし、それはわかるでしょう?」

「ああ」おれはいった。

「とにかく、こういう子どもたちを相手に、わたしたちがやろうとしているのは、”自己回復”ってことなのよ。つまり性的虐待された子どもたちって、自分人生にまったく自信がないのね……いつも怯えているの──どうしても安心できないのね。そういう子どもたちにとってのゴールは、自分虐待した相手と対決できるようになるってこと。それができるようになれば、安心感も得られるし。わかるでしょ?」

「うん、わかる」

「つまり自分がコントロールしているって感じを持たないといけないのよ。自分がその場でいちばん上にいるって思えるようにならなきゃいけないの──たとえセラピスト治療しているときでも」

(……)

それからニ、三分ほどたってイマキュラータが戻ってきた。両腕にいっぱい紙を抱えている。「これを見て」といいながら、マックスの隣に腰を下ろした。

それは子どもたちが描いた絵だった。でくのぼうみたいな形、毒々しいクレヨンの色──おれにはさっぱり意味がわからなかった。

「これがどうしたのかい?」おれはきいてみた。

「もう一度見てよ、バークもっとよく見て」

おれは煙草に火をつけ、もう一度見なおした。「この絵の子どもに腕がないのはなぜなんだい?」と、おれは尋ねた。

「それなのよ。今度は気がついてくれたわね。そう、子どもたちには腕がないの。それから、ほら、大きな人間の隣にいる子どもたちはすごく小さいでしょ? これを見て……」

それは小さな女の子自分の顔に向かって突き出した巨大なペニスを見ている絵だった。その子には腕がなかった──口は直線で描かれている。

「この子は逃げ場がないんだな」おれはいった。

「そうなの。この子には力がないの。この子は小さくて、相手の大人はものすごく大きい。ペニス子ども世界占領しちゃっているの。でも、この子にはペニスを振り払う腕もないし、逃げる脚もないの。鳥籠に捕らわれてるのよ」

「どうやって外に出してやるんだ?」その答えをききたかった。

イマキュラータは大きく溜息をついた。「どうしても抜け出せない子もいるの。だから、そうなる前に自分がまわりをコントロールしているっていう感覚を取り戻してやらないと。もし、手をうつのが遅れると、子どもたちは麻薬でそういう感覚を得ようとしたり、自殺しようとしたりするの。あるいは、流されてしまうか」

「流されてしまう?」

感情にね。ただ無力になるというのとはちがうわね。子どもたちにも性的感情っていうのがあるのよ。あまり早くからそういう感情に目ざめると、コントロールがきかなくなってしまうの。そうなると、自分からセックスを求めるようになる……本人たちはそれを愛だと思ってるけど」

「どうしようもないな」

イマキュラータは何もいわなかった。マックスが手を伸ばして、おれが煙草の火をつけるのに使うマッチを二本とった。そして、その一本をもう一本の三分の一くらいの長さになるように折り、元の長さのままのもう一本の横に置いた。それから、今度は長いほうのマッチを折って、最初に折ったのよりも短くした。そうして、イマキュラータの顔をのぞき込んだ。

「そんなことをしても効果ないわ。子どもたちにとって、相手の大人というのはいつも圧倒的な力を持つ存在なの。そういう大人を小さくしようっていうのは無理ね──あくま子どものほうを大きくしてやらないと」

おれは大人を表わすのに使った折れたマッチを手にとった。一方でべつの新しいマッチをすって火をつけ、それを折れたマッチに近づけた。折れたマッチは炎を上げた。

「それも駄目よ、バーク。過ちを犯した人間を地上から消してしまうことはできても、子どもの心の中から消すことはできないわ」

おれは何もいわなかった。イマキュラータは穏やかな顔をしていた。目だけは注意深く光らせていたが、その目が何を語りかけているというわけでもなかった。

(……)

「今の話とテープレコーダーとはどういう関係があるんだ、マック?」と、おれはきいてみた。

「わたしのオフィスでは、子どもたちがただ安全だというだけでは駄目なの。自分安全だと感じることができないと、自分人生自分でコントロールできるんだと学ぶ必要があるのよ。”ノー”という権利があるんだって学ぶ必要があるの。わかる?」

「わかるよ」

 

 

アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』

 

 

おれたちは窓のほうに向きなおった。スコッティが腰に手をあて、イマキュラータに向かって何か叫んでいる。そのうち、つかつかと進み出ると、イマキュラータの肩を小さな拳で叩きはじめた。マックスはじっとしたままだ。

「心配ないわ」リリイがいった。「たぶん、どんなことだったのか再現してみせてるんでしょう」

おれはリリイによくわからないという顔をしてみせた。「子ども自分の体験を再現するっていうのは……子どもによっては、話すよりやってみせたほうが楽だと思うからね。あるいは、もうそれを話してしまったからやってみせているのか……つまり秘密を話してしまったってことだけど……うちの子どもたちの中にも、本当のことが表に出ると感情を爆発させる子がいるのよ……それだけ怒りを秘めていたってわけね」

「だからって、なぜイマキュラータを叩くんだ?」

「そういうふうに仕向けているからよ。わたしたちはまずそうさせるの。その後で自己防衛を学ぶクラスに進むのよ。とにかく、すべてを吐き出させてしまわないと──まず秘密、次に怒りをね」

秘密っていうのは、その子どもの身に起こったこと──おとなが子どもにしたことかい?」

「いいえ。それは”いやなこと”とか”こわいこと”っていっているわね。秘密っていうのは、ひどい目にあわせたおとなたちが、これは絶対に他人にいうなって口止めしていることをいうの。ふつう、そういう大人たちは、もし誰かにしゃべったら、恐ろしいことになるぞって子どもに思わせてるから」

「その子ども自身に恐ろしいことが起こるっていうのか?」

ふつうはそうじゃないわね。両親とか、飼っている子犬とか……その子が好きなテレビ登場人物って場合もあるわ」

子どもってのはそんなことを本気にするのかい?」と、おれはきいた。おれがスコッティくらいのときには何も信じていなかったと思うが。」

「もちろんよ。自分をひどい目にあわせた相手っていうのは、圧倒的な力を持ってるんですもの。何だってできるのよ。それに罪の意識がよけい秘密にしておこうって気持ちを強めるのね」

自分は何かをされたってだけなのに、なんで罪の意識を感じるんだ?」

「それは、されたこと全部がいやじゃないからよ……それまでなかった新しい感情を呼びさまされるのね。子どもたちによっては、この人はほんとうに自分を愛してるからこんなことをするんだって信じてしま場合もあるわ。それに、親からはこういわれるかもしれないし。秘密がばれたら、わたしたちは刑務所行きだって…そうなれば、その責任自分にあるわけだし。わかる?」

 

 

アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』 

 

  小児愛者というのは、インテリほど自分の行為を巧みに正当化するものだが、ほんとのところは実に簡単なんだ──自分のやっていることは間違っていると承知の上でやっているんだ

 


アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』 

 

  小児性愛者たちは慎重に”ゲイ”をよそおってきていて、大人同士の合意による同性愛への社会の容認を、子供のレイプにまで延長しようとしているのだ。いったい何人の小児性愛者が、”ゲイの活動家”を隠れ蓑にして、”まずユダヤ人がホモセクシュアルになった”という昔ながらの流言を利用してゲイを怯えさせ、”共同戦線”といったナンセンスに引き込んできたことか? 

ゲイは幼児を犯すやつらを憎んでいる。その点は異性愛者と何ら変わりはない。

 

 

アンドリュー・ヴァクス『クリスタル』 

 

 「あんた、ほんとに彼らを憎んでいるのね、違う?」

「誰を?」

子供の敵」

「憎まないやつがいるか?」と答え、その言葉を無視した。



アンドリュー・ヴァクス『クリスタル』 

 

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