改正労働契約法によると、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど、期間が契約で決まっている「有期雇用」の労働者が同じ職場で5年を超えて働くと、希望すれば期間の定めがない「無期雇用」に転換が可能に。これに対抗する形で、日本の多くの大学が非常勤講師の雇用期間を「上限5年」に定めた。
非常勤講師の雇用契約期間を「通算5年まで」とする就業規則を制定しようとした早稲田大学は、首都圏大学非常勤講師組合から告訴されている。早大には2012年の時点で、約4300人の非常勤の教員が存在。そのうち約3800人が非常勤講師だった。これに対して、教授、准教授などの専任は約2200人。つまり教員の3分の2が非常勤であり、就業規則の制定は大きな影響をもたらす。
非常勤講師のいわゆる「5年切り」は、早稲田大学だけでなく、その他の国公私立大学にも拡大。このため、首都圏や各都市の大学非常勤講師組合、学識者、大学関係者などを集めて、改正労働契約法の悪用を阻止する動きも活発化している。日本の大学で働く非常勤講師のなかには中国人も多い。専門家の試算によると、日本全国にある大学740校のうち1校あたり平均で10人の中国人講師が存在することから、全体で7400人ほどの人数になるという。そのうちの半数以上が非常勤講師である場合、少なくとも4000人の中国人講師が「5年切り」の陰に脅えて生活しており、事態は深刻だ。
求人件名 早稲田大学文学学術院専任教員の公募(クィア・スタディーズ)
勤務形態 常勤(任期なし)
着任時期 2016年 04月 01日
備考 早稲田大学は、国際化、男女共同参画などダイバーシティの実現を推進しております。
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=1&id=D115040216&ln_jor=0
本来、学問の府というのは、そうした世の中の理不尽さを糺す人材を輩出するところであるはずなのに、その大学の講義の場自体が、理不尽な“搾取”の場と化しているのである。
“搾取”を土台とした大学――そこを出た人たちが中核をなしていく社会は、政治、経済、文化、科学、教育、家庭など社会のありとあらゆる分野で、搾取を「再生産」していき、格差を推し進めることになりはしないか。大学は、未来の社会の鏡であるがゆえに、心配、と言わざるを得ない。
【関連】
- クィアが他人の自由意思を奪い、クィアの名のもとに様々な恫喝を行い、それによってクィアに都合よく〈利用〉されること──小児性愛者とその利害関係者に〈利用〉されること、そのための〈クィア化〉に対して絶対に抵抗する。その加害の共犯になること/させられることに絶対に抗う。クィアによる「ペドフィリア・ウォッシング」、クィアが仕掛ける「ペドフィリア・ウォッシング」、クィアがそれを他人に強要し、それに加担を迫る「ペドフィリア・ウォッシング」に断固として抵抗する。
- 【クィア・ウォッシング】クィアの名のもとに、小児性愛者とその利害関係者に〈利用〉されることに対して絶対的に抵抗する──クィアによる恫喝、強要、それへの加担要求、すなわち「クィア・ウォッシング」に断固として抵抗する。
- 理不尽な搾取がまかり通っている大学、そこで行われるクィア理論講座それ自体の意味、そしてピンクウォッシュ ~ 理論の信憑性の問題は「研究不正」の問題と共有できるのではないか──ここから、これを端緒に、その議論を深めるために
- 「うちの大学はグローバルでダイバーシティで今度はクィア・スタディーズもやるよ!」
- クィアはクィアを「クィアとして」批判できるのか、しないのか、させないのか ~ 搾取を土台とした大学で平然と既得権側に回りつつ、それを糊塗するかのような「クィア・スタディーズ」が開催されようとするまさにその時に、”Queerwashing”として
- 大学教員自身が「クィアする」とき、学歴エリートを「クィアする」とき、そして「クィア・ポリティックス」として ~ 非常勤講師たちへの搾取の上に成り立つ大学の身分制度自体を問うこと、それに加担するのではなく「その特権」を問うこと、問い続けること
- 搾取を土台とした大学で──搾取する側に回りつつ、いかにしてその批判を回避させるのか ~ 「クィアポリティクス」から見えてくるエリート処世術
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- ピンクウォッシュから「クィア・ウォッシング」へ ~ 非正規雇用者切り捨て問題の渦中にある大学の「ダイバーシティ戦略」
- 非常勤講師の雇止め、インストラクターの切り捨て問題で揺れる大学で ~ それはピンクウォッシュ批判の嚆矢となるのか、それとも「それ自体」になってしまうのか
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