2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1.若年者・弱者への類型的保護と近親姦罪の復活 日本と異なり、フランス刑法の性犯罪規定は、若年者・弱者への類型的保護が特徴である。その保護には、被害者の属性に対する保…
女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1.ナポレオン刑法典における強姦罪 19世紀初頭、世界の模範となったフランスのナポレオン刑法典(1810年)における強姦罪は重罪(重罪、軽罪、違警罪というフランス刑法上の犯…
アンデシュ・ニューマン、ベリエ・スヴェンソンの『性的虐待を受けた少年たち ボーイズ・クリニックの治療記録』(太田美幸訳、新評論)より。 私たちのところにやって来る少年たちの多くは、トーマスのように、男性から性的虐待を受けたことによって、自分…
アニタ・ロバーツ『自分を守る力を育てる セーフティーンの暴力防止プログラム』(園田雅代 監訳、金子書房)より 境界線とは何か 境界線とは、私たちのまわりにある目に見えないフェンス、「力を及ぼすことのできる領域」であり、自分の感情的、身体的なス…
キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子、菊池美名子、湯川やよい 訳)より、後藤弘子「法的観点からみた日本における性的虐待の対応」 犯罪者に対して、これまで刑事法は、起こった行為につい…
グループ・ウィズネス編『性暴力を生き抜いた少年と男性の癒しのガイド』(明石書店)より 性暴力は、あなたがまだ子どもであったろうが、10代の少年であったろうが、大人であったろうが関係なく、あなたの心に大きな衝撃を与える出来事になるでしょう。この…
デイビッド・フィンケルホー(David Finkelhor) の『子ども被害者学のすすめ』(森田ゆり/金田ユリ子/定政由里子/森年恵 訳、岩波書店)より こんなに多くの子どもがこんなに多種の被害を経験しているからには、少なからぬオーバーラップがあるはずだ。…
ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』(中井久夫 訳、みすず書房)より 今日という日 私の小さな自然の身体の中に 私は腰をおろし、そして学ぶ── 女性である私の身体は あなたの身体のように どの街でも標的となって 十二の歳に 私から奪われた…… 私は一…
キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子/菊池美名子/湯川やよい 訳、明石書店)より第6章「宗教の問題」。 宗教的コミュニティにおけるドメスティック・バイオレンスや性暴力の問題をとりあげ…
グループ・ウィズネス編『性暴力を生き抜いた少年と男性の癒しのガイド』(明石書店)より 子どものころに性虐待を受けたあなたへ 子どものころに性暴力に遭った場合、その当時は性虐待を受けたのかどうかよくわからなかった人もいるかもしれません。何が虐…
森田ゆり『新・子どもの虐待 生きる力が侵されるとき』(岩波ブックレット)より 性的虐待を受けた子どもの訴えを信じて力になろうとする大人が少ないことを子どもは知っています。米国の精神科医ローランド・サミットは1983年に「性的虐待順応症候群」を発…
ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』(中井久夫 訳、みすず書房)より第四章「監禁状態」 監禁状態は犯人と被害者とを長期間接触させ、特別なタイプの関係をつくりだす。強制的コントロールの一形である。このことは、捕虜、囚人、人質のように全く物理…
デイビッド・フィンケルホー(David Finkelhor) の『子ども被害者学のすすめ』(森田ゆり/金田ユリ子/定政由里子/森年恵 訳、岩波書店)より メディアによって未成年被害者よりも未成年加害者に対して焦点があてられる問題 大半の米国人には、子どもは弱…
ジュディス・ハーマン『父-娘 近親姦 「家族」の闇を照らす』(斎藤学 訳、誠信書房)の序章より 一般的な信仰によれば、ディンプナ*1はアイルランドの異教の王とキリスト教徒の王女との娘として生まれる。母親は彼女がまだ小さいときに死んでしまうのである…
坪井節子/子どもの人権双書編集委員会『子どもたちと性』(明石書店)より 子どもの性的虐待であれば、児童相談所に相談してほしい。ただし児童相談所では、いまや子どもに関するあらゆる問題が山積みで、福祉司の受け持つケースが多すぎる。また、性的虐待…
デイビッド・フィンケルホー(David Finkelhor) の『子ども被害者学のすすめ』(森田ゆり/金田ユリ子/定政由里子/森年恵 訳、岩波書店)より 評価は、被害で何が起き、それはなぜなのかについての──それがいかに未熟なものだとしても──認知にかかってい…
リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 接触のある虐待は、普通罪を問われる犯罪である。含まれるのは、虐待者が自分のペニス、指、舌、他の身体の部分や、何等かの物を用いて…
ジュディス・L・ハーマン『心的外傷と回復』(中井久夫 訳、みすず書房)より 身体の統御から進んで、安全の焦点は環境の統御に移る。急性の外傷を受けた人には安全な避難の場が必要である。この非難の場を見つけて確保することは危機介入にあたって即座に…
森田ゆり『子どもと暴力 子どもたちと語るために』(岩波現代文庫)より 性虐待がかなりの数で起きていること、そしてその被害者への影響の深刻さが明らかになるにつて、1970年代の後半から北米では子どもたちに防止教育を提供する動きが市民レベルで始まっ…
リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 小児期の性的なトラウマをあますところなく示す、明確な臨床像は特に存在しない。しかし、性的虐待を受けたことがある女性や男性に共通…
リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 「性的裏切り(sexual betrayal)」は、「性的虐待(sexual abuse)」、「近親姦(incest)」、「性的トラウマ(sexual trauma)」とい…
森田ゆり『子どもの性的虐待』(岩波新書)より 性犯罪者の個人情報の公開制度としてよく知られているのが、米国のミーガン法である。1995年にニュージャージー州法として成立し、97年には連邦法として施工された。すでに刑を終えた人の個人情報を公開するこ…
クリスティアン・D・イェンセン『ぼくの話を聞いてほしい 児童性的虐待からの再生』(山下丈 訳、講談社)より 『ぼくの話を聞いてほしい』 訳者のまえがきより 9歳のクリスティアンは、友達ニコライの家族と南仏プロヴァンスの小さな村にバカンスに出かけ…