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”自殺したいと思っていい。でも、実行はしないで” ~ 性暴力被害者の心の危機

グループ・ウィズネス編『性暴力を生き抜いた少年と男性の癒しのガイド』(明石書店)より

性暴力とは、自分のからだだけでなく、心も魂も侵害される加害行為です。性暴力は大きなトラウマで、心とからだや強い衝撃を与えます。場合によっては殺されたり、ケガをさせられたり、そういうことが起こる恐怖が伴うこともあります。

このような強い衝撃を受けたとき、その自然な反応として、心やからだに短期・長期にわたってさまざまな影響が表れます。

 


p.61

 

──心の危機が訪れたら


心の危機的な状況は、性被害に遭った直後と、それからあなたが癒され回復していく過程で、何度か訪れるかもしれません。でも、恐怖や混乱は時間とともに減っていきますし、そのときは、永遠に思える心の危機も必ず終わります。


危機は、自分の被害を思い起こさせるような人や場所、物が引き金にない、引き起こされるかもしれません。例えば、記憶を取り戻したときや、被害に遭った日が来たり、人生でつまづくような出来事が起こったとき、災害などの衝撃的な出来事が起こったときも、それが引き金になって心の危機が起こってしまうことがあります。


そんなとき、次のような状態になるかもしれません。

死んでしまいたくなる。
自分を傷つけたくなる。
パニック発作や、フラッシュバックに悩まされる。
アルコールや薬物、食べることなどが止められない。
よく眠れない。

 

このような症状や心の状態は、とても苦しいものです。でも、あなたには、このような苦しい状態にならざるをえないほどのことが起こったのです。(……)

 

 

1)死にたくなってしまったら


ほんとうに苦しくて、希望も見えなくて、この苦痛が止まるなら人生を終わらせるという方法がとても魅力的に思えるときもあるかもしれません。それだけ性暴力は残酷で、非情にもあなたを苦しみに陥れる経験なのです。

 

①自殺したいと思っていい。でも、実行はしないで


苦しくて、もうどうしようもなく、死にたいと思ってしまうほどつらいかもしれません。それだけ深い傷だったのです。そう思ってしまう自分を責めないでください。でも、その気持ちを実行に移さないでほしいのです。


あなたは苦痛から解き放たれない。でも、今は死ぬことでしかその苦痛を止めることができないと思っているかもしれません。しかし、苦痛を止める方法は他にもあります。

そして、この苦痛を乗り越えると、生きのびるのに必死な毎日ではない、生きることが充実した幸せな毎日にたどり着けるのです。


希望を捨てないで。あなたと同じような経験をして、今のあなたのように死の誘惑を抱えながらも、生き抜いて、癒しを進めていったサバイバーたちは、あのとき死ぬことを選ばなくてよかったと思っています。

 


p.104-105

  

 

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