The Reverberator

EFFORTLESS FRENCH

子どもへの性的虐待とセクシュアルハラスメント問題 ~ 「クィア」の横暴に抵抗するために

「これはセクハラではなく、ネオリベラリズムだ」 ~ アヴィタル・ロネルのセクシュアルハラスメント問題をめぐる外道どものクィア・ポリティクス

事件 ~ クィア・スペースにおけるセクシュアルハラスメント ニューヨーク大学のアヴィタル・ロネル教授が学生に対してセクシュアルハラスメントを行ったとして告発された。ロネル教授を訴えたのはNimrod Reitman。当時、Reitmanはロネル教授の下で指導を受…

チャイルド・マレスターは「チャイルド・ポルノ」を利用する、子どもにそれを見せそれと同じことをするよう要求するために利用する、子どもにそれを見せ「それ」が自然な行為であると説得するために利用する、子どもを洗脳し、共犯者に仕立てるためにそれを利用する、それによってチャイルド・マレスターは自分の行為を正当化する

ロジャー・J.R.レヴェスク『子どもの性的虐待と国際人権』(萩原重夫訳、明石書店)より。なお、下記原文中では「ペドファイル」という言葉が使用されているが、実際に現実に子供に接触しようとする者はそのことによって「チャイルド・マレスター」と呼…

「被害者が特定される」として、加害者の性別や年齢、施設名、発生時期など具体的なことは明らかにしない

2015年度に高知県内の児童施設で性的虐待あるも詳細明かさず 高知新聞 2016.09.01 高知県内の児童福祉施設で2015年度、保育士による10代の男子への性的虐待があったことが31日、分かった。高知県児童福祉審議会で県が報告した。 高知県児童家庭課に…

法制審答申案 強姦、非親告罪に、性別の前提もなくなる

性犯罪「親告罪」撤廃へ…法定刑引き上げ厳罰化 読売新聞 2016年06月16日 性犯罪を罰する刑法の規定の見直しを議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、被害者の告訴が起訴の条件となる「親告罪」規定の撤廃や、強姦(ごうかん)罪の法定刑…

子どもへの性的虐待と社会的関心の焦点

西澤哲『子ども虐待』(講談社現代新書)より 第1章でも述べたように、世界のどの国やどの社会においても、子どもへの虐待が問題視され、その対応が講じられていく際には、まず、身体的虐待が問題とされ、その後、ネグレクト、性的虐待、そして心理的虐待の…

学問権威維持のテクニックとセクシャルハラスメント被害者選びのテクニック

柴田朋『子どもの性虐待と人権 社会的ケア構築への視座』(明石書店)より 本書において、運動家による「主張」と知覚される書き方・様相の部分がある。運動家としての「主張」は「主観」に属し、本社会問題の対処法・処方箋としての記述様相は、「中立性」…

彼らは成人が名乗り出ているのを見ているのであって、忌むべき行為がなされた子どもとは見ていない……そして私たちはそれを許してしまった

ボストン・グローブ紙《スポットライト》チーム[編]『スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪』(有澤真庭 訳、竹書房)より 「私の知る修道女は全員、教会のねずみに負けないくらい貧しかった。一方で司祭は、キャディラックを乗り回してい…

虐待的環境とセクシュアリティの乱用モデル

リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 少女への虐待をめぐる家族力動 性的虐待を受けた女性に関する文献の中には、彼女たちの家族についての詳しい記述が多く見られる。例えば…

「私は生きるか自殺するか決めなきゃいけないの?」 ~ 宗教指導者による子どもへの性的虐待とその影響

ピア・メロディ『児童虐待と共依存 自己喪失の病』(内田恒久 訳、そうろん社)より。ピア・メロディは共依存やトラウマの治療施設「メドウズ」の責任者。 宗教代表者から身体的・性的・もしくは情緒的虐待を受けることは子どもにとってとても悲惨なことだ。…

”ジャーナリストによる監視がなければ、権力者は好き勝手なことを言い、ウソをつく。政治家に限らず、大企業、大銀行、大学などすべてに共通する”

実話の調査報道を活写 米アカデミー賞作品賞「スポットライト」、マッカーシー監督 「スポットライト」はグローブ紙に設けられた、調査報道の専門チームの名前だ。「焦点をあてる」「暗闇の中から照らし出す」といった意味を持ち、隠された事実を掘り起こす…

非接触性の子どもへの性的虐待、その深刻な影響、後遺症

西澤哲『子ども虐待』(講談社現代新書)より 性的虐待の影響は、子どもの年齢、虐待行為の頻度や期間、暴力などによる強制の有無、被害のタイプ(特に性器や肛門への挿入の有無)、子どもと加害者の関係など、さまざまな要素の影響を受ける。 ここでは、「…

子どもへの性的虐待における「性の権威者」 ~ 被害者に責任転嫁をするフロイトのパターン、加害者の行為を矮小化するキンゼイのパターン

スーザン・ブラウンミラー『レイプ・踏みにじられた意思』(幾島幸子 訳、勁草書房)より 女性が女性について書いた近年の作品には、子どものころ受けたいたずらやレイプの記述が驚くほど多くみられる。 姪にあたるクウェンティン・ベルによるヴァージニア・…

被虐待児の親権と母親の性的指向に対する攻撃

キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子、菊池美名子、湯川やよい 訳)より 子どもを自分の夫に虐待された母親なら、「子どもの養育についての自分の権利を知りたい」と真っ先に考えるでしょう…

子どもの性的虐待を発見するきっかけ ~ 医学的視点から

女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 性的虐待を発見するきっかけには、被害者側のもの(非性器損傷・行動・特性)と加害者側のもの(行動・特性)と家庭に関するものが存在する。 (1) 性的虐待における損傷の特徴…

アメリカにおける子どもの性的虐待をめぐる典型的な司法手続きの流れ

キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子、菊池美名子、湯川やよい 訳)より 1 警察に対する通告は、あなたかほかの関係者が行います。近親姦の事件では、通告が学校関係者や第三者によりなされ…

子どもの性的虐待に関する法的世界 糾問的制度と弾劾的制度

ロジャー・J.R.レヴェスク『子どもの性的虐待と国際人権』(萩原重夫訳、明石書店)より。 法制度は、問題解決への社会的対応を大きく限定する。いくつかの法制度形態が存在するけれども、それらは、両極端の間で運用される傾向にある。 一つの極は、無…

他人の境界を侵害し彼らを利用するような人は加害者と称される、境界は教える必要がある

ピア・メロディ『児童虐待と共依存 自己喪失の病』(内田恒久 訳、そうろん社)より 境界システムは目に見えない、三つの目的を持った象徴的な「壁」である。その目的は①私たちの領域へ他人が侵入したり、私たちを害することを防ぐこと②私たちが他人の領域へ…

女性は少年をレイプできるか? あるいは少年は(年上の男性による加害行為以外に)被害を訴えることができるか? ~ 性的虐待を性的通過儀礼として捉えること

リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 13歳の少年をレイプしたと法的に訴えられている37歳の女性の裁判を真剣にとりあげたある新聞記事に、女性と少年の間の性行為に対する社…

セクシュアルハラスメントは「そのような関係」にある個人と個人の境界線の問題

森田ゆり『子どもと暴力 子どもたちと語るために』(岩波現代文庫)より岩波現代文庫版あとがき、デービッド・フィンケルホーとの対談 森田 司法面接とは主として性的虐待を受けた子どもから、①虐待が虚偽の訴えではなく、実際に起きたことを確認するために…

少年への性的虐待は映画ではどう描写されているのか、あるいは何が描かれていないのか

リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 成人女性が少年の性を目覚めさせるという映画描写 Johanek(1988) が述べるように、「大衆文学は、年上の女性によって大人の性へと導かれ…

性暴力における被害者非難と法的判断

アニタ・ロバーツ『自分を守る力を育てる セーフティーンの暴力防止プログラム』(園田雅代 監訳、金子書房)より 性的暴行 非難と責任についての明瞭な像 ジェンダーにもとづいた思い込みには、女性のもつ性的な力に関するもの、ならびに「男性は性衝動の奴…

反道徳性から性的自由に対する侵害へ ~ イタリアにおける「性暴力」の罪

女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1996年の性犯罪規定の改正でもっとも重要な点は、性犯罪の規定を、社会的法益に対する罪から、個人の性的自由に対する罪に大きく改めたことである。それは、性的自由の保護を実…

秘密の開示 ~ 自分よりさらに助けを得られない立場にある年下の同胞を守るために

ジュディス・ハーマン『父-娘 近親姦 「家族」の闇を照らす』(斎藤学 訳、誠信書房)より バックグラウンドや理論的方向性がどのようなものであれ、近親姦が起きている家族の問題に広範囲にわたって取り組んできた専門家は、本質的な三点では一致しているよ…

未成年の性犯罪被害者に対する公訴時効 ─ 日本、フランス、ドイツ、韓国の現状

女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より [日本における性犯罪の公訴時効の現状] 性犯罪の公訴時効期間は現在、次のとおりである。強姦罪、準強姦罪、集団強姦罪は10年(刑事訴訟法250条2項3号)、強姦致傷罪は15年(…

性暴力にかかわる言葉を被害者の視点から定義しなおし、確立していくこと、語りはじめること、たどたどしくとも語りはじめること、沈黙をやぶったその声を大きく広く響き渡らせること

森田ゆり編著『沈黙をやぶって 子ども時代に性暴力を受けた女性たちの証言』(築地書館)より この本を一読して、なんだこの程度のことで痛いだ生きづらいだといっているのか、世間にはもっとひどい目にあっても黙って耐えて生きている人間がいっぱいいるん…

”自殺したいと思っていい。でも、実行はしないで” ~ 性暴力被害者の心の危機

グループ・ウィズネス編『性暴力を生き抜いた少年と男性の癒しのガイド』(明石書店)より 性暴力とは、自分のからだだけでなく、心も魂も侵害される加害行為です。性暴力は大きなトラウマで、心とからだや強い衝撃を与えます。場合によっては殺されたり、ケ…

児童虐待経験者の親密関係は飢えた者のように庇護とケアを求める衝動によって駆り立てられており、見捨てられるのではないか、搾取されるのではないかという恐怖につきまとわれる

ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』(中井久夫 訳、みすず書房)より 多くの被虐待児は大人になれば逃れられ、自由になれるという希望にしがみついている。しかし強要的コントロールという環境の中で形成された人格は成人の生活によく適応できない。 児…

フランスにおける性交同意可能年齢の意味することと、夫婦間(親密圏)強姦の加重事由が意味すること

女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1.若年者・弱者への類型的保護と近親姦罪の復活 日本と異なり、フランス刑法の性犯罪規定は、若年者・弱者への類型的保護が特徴である。その保護には、被害者の属性に対する保…

ナポレオン刑法典における強姦罪から1980年12月23日の法律へ ~ フランス刑法における性犯罪の沿革

女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1.ナポレオン刑法典における強姦罪 19世紀初頭、世界の模範となったフランスのナポレオン刑法典(1810年)における強姦罪は重罪(重罪、軽罪、違警罪というフランス刑法上の犯…

性的虐待の経験が被害者の性的指向を決めるわけではない

アンデシュ・ニューマン、ベリエ・スヴェンソンの『性的虐待を受けた少年たち ボーイズ・クリニックの治療記録』(太田美幸訳、新評論)より。 私たちのところにやって来る少年たちの多くは、トーマスのように、男性から性的虐待を受けたことによって、自分…