実話の調査報道を活写 米アカデミー賞作品賞「スポットライト」、マッカーシー監督
「スポットライト」はグローブ紙に設けられた、調査報道の専門チームの名前だ。「焦点をあてる」「暗闇の中から照らし出す」といった意味を持ち、隠された事実を掘り起こす調査報道の意義も込められている。映画は、新しく着任した編集局長の指示をきっかけに、4人のチームが性虐待の被害者や弁護士らに取材を重ね、カトリック教会が長年にわたって虐待を隠していたという記事を出すまでの経緯をたどる。
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結果的に報道はカトリック教会の中枢を直撃し、影響が全米だけでなく、全世界に広がった。「もしグローブが取り組まなければ、今でも明らかになっていないかもしれない」。米大統領の辞任へとつながったウォーターゲート事件も、民主党本部への侵入事件というローカルニュースが報道のきっかけだった。「腐敗は思わぬ場所に潜んでいる。だからこそ、地元に密着したジャーナリズムが大切」という。
だが、現実には米国の地方紙の多くが経営難で苦しみ、人員も部数も減っている。その影響の深刻さが十分に理解されていないとの懸念をマッカーシー氏は抱く。「今年の大統領選をみても、好き勝手に発言する政治家が横行している。特に共和党は政策についての言及が少なく、ディベートも冗談のようだ。大きな理由は、本当のジャーナリストから質問を受けていないことだ」と考えている。
それだけに、映画が調査報道への関心を呼び起こす期待もあるという。「ジャーナリストだけでなく、起業家らが、報道が力を取り戻すための方策を生み出すことを願っている。なぜなら、それは私たち市民にとっては不可欠なことだから」との思いからだ。
「ジャーナリストによる監視がなければ、権力者は好き勝手なことを言い、ウソをつく。政治家に限らず、大企業、大銀行、大学などすべてに共通する」
『スポットライト』を見ながら特に思い当ったのは「隠蔽工作」の巧妙さだった。意識していなかったら自分も「それ」に加担させられていただろうと思った。マッカーシー監督が言っているように、注意を向けるべきなのは、政治家、大企業、大銀行、大学であり、特に教会と大学は似ていると思う。
— HODGE (@HODGE_EGDOH) April 17, 2016
「政治家、大企業、大銀行、大学」という集合の中で、一つ違うものがあるように思えるときがある。ネオリベラリズムやナショナリズムなどの批判を聞くときだ。しかし映画『スポットライト』を見て学んだことは誰がそのような「隠蔽工作」を行うことができたのか──それは「例外主義」なのではないか。
— HODGE (@HODGE_EGDOH) April 17, 2016
加害者が「弱みをもった」被害者を慎重に選択しているように、「性的な言動」を浴びせてもかまわない人とそうでない人を選んでいる──セクシュアル・ハラスメントはそのようにして行われる。「性的な言動を浴びせてもかまわない人」は権力者によって作られる。それが「あの学問」のやり方だとしたら。
— HODGE (@HODGE_EGDOH) April 17, 2016
「性的な言動を浴びせてもかまわない人」を「その学問名」の中に組入れる──強引に、自由意思を奪い。「それ」は既成事実化され、「それ」に対する訴えを無効にする。それが暴力でなくていったい何なのだ? なぜそんなことができるのか。『スポットライト』を観て分かった──教会と大学は似ている。
— HODGE (@HODGE_EGDOH) April 17, 2016
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