東大「5年で雇い止め」、組合反発 有期から無期へ「ルール」発動控え 朝日新聞 2017年8月24日
有期で5年を超えて働くと、「無期契約」への転換を求めることができる労働契約法の「5年ルール」の発動を来年4月に控え、無期転換を阻止する動きだと組合側は猛反発している。
東京大学が非常勤職員8000人大半の雇い止めを強行か Yahoo! ニュース 9/5
2013年4月に施行された改正労働契約法は、5年以上同じ職場で働く非正規労働者が希望した場合、無期雇用に転換することを定めている。組合側は、2018年4月以降、希望者全員の無期雇用転換を求めているが、大学は契約期間の更新を上限5年とする「東大ルール」を法律よりも優先。法人化前から働く480人など一部を除いて雇い止めする方針だ。
また大学は、短時間勤務の教職員は6カ月のクーリング期間をおけば上限5年での再雇用が可能としている。しかし、無期転換を避けるためのクーリングは違法または脱法行為とされる。しかも以前は3カ月だったクーリング期間を、改正法の成立後、雇用期間が「リセット」される6カ月に変更した。これは労働条件の不利益変更だが、労基署に届け出ていない疑いがあり、非常勤講師組合は労働基準法違反で刑事告発を検討している。
東京大学で起こった、非常勤職員の「雇い止め争議」その内幕 Yahoo! ニュース 9/7
団交の場で、大学側は2018年4月から「職域限定雇用職員」という、フルタイムで定年まで働ける、新たな非正規教職員制度を作ると説明した。契約期間が満了しても引き続き働きたい人は、フルタイムの人もパートの人も、毎年秋に実施される試験を受け、それに合格すれば、非常勤ながら定年まで働くことが可能になる制度だという。
大学側は「この試験に合格すれば無期雇用になるので、試験を受けてほしい」と、誰でも受けられることを強調するが、組合側が「試験に受からなかった人はどうなるのか」と質すと、大学側は「試験に落ちた人を保障する必要はない」と回答。つまり、試験で落としてしまえば、その職員を再度雇う必要はない、ということのようだ。試験に受からない場合は「その人の責任」で、不合格によって雇用が途切れるのは大学側の責任ではない、という理屈をつくるための制度だ、と組合側は受け取っているという。
大学側は、団交の場で「この提案は決して法律の趣旨には矛盾していない」と言い張り、「東京大学の業務の特性上致し方ない。部局ごとの事情もあり統一した対応は困難」と主張した。
あなたたちは人に自分の正しさを見せびらかすが、神はあなたたちの心をご存じである。人に尊ばれるものは、神には忌み嫌われるものだ。律法と預言者は、ヨハネの時までである。
ルカのよる福音書 16-15-16 新共同訳聖書
【関連】
- ジュディス・バトラーの涙 ~ 権力の巧妙な策略による大学の雇い止め問題、解放を促すはずのまさにその大学で起きている欺きの正当化と弱き者の排除、「ピンクウォッシュ化」するクィア・ポリティクス
- 「クィア・スタディーズ」とはいったい何だったのか? 特定の高学歴者たちの研究する自由だけを約束し、その一方で「こんな」ネオリベラルな価値観を温存させ、「このような」階級的ヒエラルキーと結びついた格差を生み出している状況はいったい何なのか? 非正規雇用者に対してまるで「だまし討ち」のようなこんな馬鹿にしたルール=規範を強いて雇い止めを行う教育機関/研究機関としての大学の「この惨状」はいったい何なのか? 東京大学非常勤職員の雇い止め問題から見えるのは高学歴者中心主義のクィア・ノーマティヴィティ・ポリティクス…
- ようこそ、ネオリベラリズムと親和的な大学へ ~ クィア・ポリティクスと偽りのネオリベ批判、「アメリカの事例」をまことしやかに教え説く偽預言者たちのクィア・ポリティクス──すなわち「ピンクウォッシング」
- 裸の王様たちのクィア・ポリティックス ~ 大学がネオリベラリズムの温床で、その最前線であることは、もはや多くの人が薄々感づいている。それなのに、それだからこそ「ネオリベラリズムと親和性がある」と他人にその責を擦り付けている薄汚いクィア・ポリティックス──それこそがまさに”王様は裸だ!”を覆い隠すピンクウォッシュ。
- 電通で発覚した事実とその後の「その評価」、東京大学で発覚している事実と今後なされるべき「同様の評価」 ~ クィアポリティクスにおいて問題を設定するのは誰なのか? 他人を評価する側に恒久的に就くことができるのは誰なのか? その権能はどこから授けられたのか?
- 渋谷区の寓話、東京大学の寓話、野宿者排除とクィア・ポリティクス、大学非常勤職員の雇い止め問題とクィア・ポリティクス、ピンクウォッシュの接続、ピンクウォッシングの展開
- そこにネオリベラリズムの地獄を見た ~ 東京大学非常勤職員の雇止め問題とクィア・ポリティクスの悪魔的欺瞞
- ”人件費を抑えるため、身分が不安定な任期つき雇用を増やさざるを得ない国立大が増えている””非正規なくして○○大学なし”──これがクィアポリティクスの成れの果てなのか? ネオリベラリズムへの警鐘を鳴らし、その処方箋だと嘯いてきた「アメリカの新興学問」の正体なのか? インチキじゃないか? 詐欺じゃないか?
- 東北大学で非正規教員3200人「雇い止め」の恐れ、「優秀な人を継続雇用する制度を導入する予定」 ~ クィア・ポリティクスと齟齬のある事象、ネオリベラリズムとの親和性
- 軍事応用可能研究に16大学応募 東工大や岡山大 防衛省が費用
- 日本の研究者に米軍資金 12大学・機関に2億円超
- 【理論の信憑性】それほどまでにナショナリズムやネオリベラリズムの研究/に対する警戒、「それに加担している」と他人を恫喝・告発をしてきたのに、自分たちのその基盤がその渦中にあるのって、どういうことなんだろう? 足元を見ていない? 研究成果を生かせていない?
- 「非常勤講師ノーマティビティ」とクィア格差
- 軍事と大学、防衛省公募に応募多数 ~ クィア・ポリティクスと齟齬のある事象、理論の信憑性