早稲田大学には7つの事業所があるようなのですが、それぞれの事業所の代表の氏名が書かれていて、それを信任してくれということなんです。そして不信任の場合のみ郵送で投票用紙を送れとあり、しかもその郵送先は選挙管理委員会ではなく、専任の教員組合内です。しかも不信任にする場合は、その事業所名と代表候補者名を書き、自分の所属と自分の氏名を書いて判子まで押さなければならない記名投票なんですね。非常勤講師にとって専任教員というのは、自分の授業の雇い止めに関係してくる人達です。決めるのは教授会ですが、専任教員に自分の名前が知られるということは自分のクビが危うくなる危険性がある。とてもそんなことはできるはずがありません。
求人件名 早稲田大学文学学術院専任教員の公募(クィア・スタディーズ)
勤務形態 常勤(任期なし)
着任時期 2016年 04月 01日
備考 早稲田大学は、国際化、男女共同参画などダイバーシティの実現を推進しております。
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=1&id=D115040216&ln_jor=0
大学院で博士号を取得し、有名私立大学で講義する身でありながら、年収200万円~300万円の苦しい生活を強いられているのが「非常勤講師」と呼ばれる人たち。各大学の専属教員とは別の、年間契約で雇われている講師のことを言う。民間企業でいうところの、非正規の契約社員である。
筆者がそのことを知ったのは、「だから教授は辞められない―大学教授解体新書」(川成洋編著/ジャパンタイムズ/1995年10月5日出版)という本のなかの、「使い捨てられる非常勤講師たち」(竹添敦子著)という章を読んだのがきっかけだった。
そこには、非常勤講師は1コマ当たり2万円程度の講師料、研究費は自腹、学会費も出張費も全額自己負担といった具合で、専任の教授と比較して「待遇に圧倒的格差」があることが縷々述べられていた。
早稲田大・非常勤講師の給与明細が語る“大学内搾取”の構造:MyNewsJapan
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