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金沢大学の廃寮問題とピンクウォッシュ ~ 4132名もの反対署名を反故にし、ネオリベ政策を強行した大学でクィア理論/クィア映画を学ぶ意義って何だろう?

 

 

金大 泉学寮存続へ最後の訴え 来月末で廃止予定 :北陸中日新聞Web

一九六五(昭和四十)年に金沢市野町に設置された泉学寮は、建物の老朽化を理由に、大学側が二〇二二年度末での廃寮を決定。寮生は経済的事情などを理由に反対し、昨年三月から署名活動を続けてきた。現役寮生に卒業生らが協力し、オンラインを含め約三千八百筆が集まった。
 この日は、これまで活動してきたメンバーに加え、京都大吉田寮、一橋大中和寮の学生と大学院生六人が駆けつけた。学生らは通行人や行き交う車に向かい、廃寮問題について説明。運営費や光熱費を含めて月一万円ほどの泉学寮は、困窮学生の支えとなっていることに触れ「学生の声を聞いて」などと訴えた。
 京都大吉田寮は、大学側が建物の明け渡しを求めて寮生を提訴し、現在係争中。三年の男子学生(22)は「泉学寮の廃寮は大学の管理強化が背景にあり、吉田寮と問題の根っこは同じ。横の連携を深めたい」と思いを共有する。


 「大学全体がトップダウンになり、学生の生活を守ろうとしていない」

【石川】「学生の声、ニーズをもっと聞いて」 岡田幹事長が金沢市内で学生らと意見交換 - 立憲民主党

「本来国立大学における学生寮は、教育の機会均等の原則に則り経済的に困窮している学生たちが安心して学校に通うことができるために必要な施設だが、全国的に減少の傾向にある。大学側は廃寮の理由として、老朽化や採算性の問題に加え、民業への圧迫、周辺の不動産業への配慮を挙げている。学生よりも民間に配慮していることを如実に表すもので、教育の機会を保障していく体制を築くためには国としてお金を出してもらいたい。大学側の対応は冷たく、政治の力をお借りしたい。教育行政を含め、学生の声をもっと声を聞いてもらいたい」

金沢大の廃寮問題、大学が水道停止を通知 国は「丁寧な対応」要請:朝日新聞デジタル 2023年3月18日

金沢大学が3月末に廃寮とする方針を定めている学生寮をめぐり、大学が31日午後5時に寮の電気・ガス・水道の供給を停止すると、退寮に従わない学生に通知したことがわかった。この問題は10日に国会で取り上げられ、文部科学省が金沢大に「丁寧な対応を」と求めたばかり。大学は応じる姿勢を示していない。

 教授「寮生が路上生活せざるを得ない」金沢大学の2つの学生寮が3月末廃止 学長に異例の緊急要請

金沢大学は2019年、築60年近くになる2つの学生寮を老朽化などを理由に2023年3月に廃止すると発表しました。

 しかし、廃止される泉学寮では、まだ8人の学生が経済的な理由から次の転居先が決まっていません。泉学寮の寮費は月額700円で、そのほかの諸経費8000円とあわせ月1万円ほどで生活できたためです。

 

「31日に廃寮ということになると彼らは行き場を失ってしまう。極端に言えば路上生活、野宿せざるを得ない状況」

 

 

 

経済的に恵まれない学生のための学寮を廃止し、退寮に従わない学生に対し水道などのライフラインを断ち切ることまで通告した金沢大学は、その一方で派手なダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括)を喧伝している。

クィア理論」が教える「ピンクウォッシュ」っていったい何だろう?

 

 誰も取り残さない金大へ 「ダイバーシティ機構」看板除幕式 

機構は、同大を構成する全職員と学生らが性別や人種、障害の有無などにかかわらず、個性を尊重し合える環境づくりを進める。
 同大ではこれまで、外国人留学生や障がい者の支援、男女共同参画などを別々の組織で進めてきた。既存組織に性的少数者(LGBTQ)支援を加えて組織改正し、新たな機構として共生社会の実現に取り組む。

 

 

 

 

金沢大学の廃寮をめぐる様々な声

「困窮する学生を自己責任でもって退寮させ放り投げる大学とは」「学生に対しこんなやり口は許せない」「経済的に苦しく、泉学寮があるから大学に通えた学生もいる」「コロナ禍と急激な物価高があるなかで」「電気ガスは東大の駒場寮でも止められてたけどさすがに水道は…」「廃寮攻撃を受けている金沢大学泉学寮が大学当局に電気・ガス・水道のライフライン供給を止められようとされている」「これが教育機関のやることなの?」「権力を持つ側であれば世の中の道理や通すべき筋を守らなくても思い通りにできるという傲りが透けてみえる」「建物は明け渡しても自治の息吹は絶えません」「大学という場において、民主主義が否定されることのないようお願いしたい」「学生寮があったからこそ大学へ来れた人が周りにたくさんいる」「大学が廃寮問題で学生に教えたことといえば、結局はすべて「力」だということ」「経済的に困窮する学生の生活環境を保障する、民主的な学寮がこの大学から完全に無くなってしまう」「民間のアパートに住むことも困難な経済状況の学生こそが寮を必要とする」「誰でもできることじゃないですよ、大学に向けて声をあげるなんて」「学生の自治と福利厚生を奪った大学の責任は重大だ」

 

 

本年度より新しくクィアスタディーズ/クィア理論の講義を受講することになった学生の方々にお願いがあります

大学におけるこのような現状を無視し、クィアスタディーズ/クィア理論には20年、30年の蓄積があると、まるで信用金庫に融資を受けにきた老舗商店のように居丈高に振る舞っても、それがいったい何になるのでしょう? 何のための理論なのでしょう? 目的を見誤ってはなりません。手段を目的にしてはなりません。問題はいたってシンプルです。「こんなことまで問題にしている」にもかかわらず、なぜ「現状はこうなっている」のか、ということです。「ネオリベラリズムと親和性がある」「ノーマティヴィティ」と他人を恫喝しておきながら、そう言っている者たちこそが、まさにネオリベラリズムの泥沼に首までつかっているような光景が見えます。こんなおかしなことは子供でもわかります。

クィアスタディーズ/クィア理論には指定検定教科書みたいなものがあり、そのため、どの大学のクィアスタディーズ/クィア理論の講義でも、おそらく内容的に画一化・統一化されたカリキュラムになっていることが予想されます。みんな同じことを言うことが予想されます。みんな同じような事例を扱うことが予想されます。でもちょっと立ち止まってみてください。もし、どう考えても現状と相いれない理論、または信頼性が著しく乏しい理論を「検定教科書に書いてあるから」「他に間を持たせる事例がないから」というだけで、何年も前から何度も何度も無批判に繰り返し紹介しているだけだとしたら、それは学問の退廃ではないでしょうか?

間違えないでください。実際の現実のネオリベラリズムを解消するためではなくて、クィアスタディーズ/クィア理論の授業の「間を持たせる」ために必要なものなのです。考えてもみてください。もし「ネオリベラリズムと親和性がある」と高度な分析をしていると称している同じ大学で、経済的に困窮した学生のための寮を廃寮し、立ち退きを拒むが学生に対し強硬手段に訴えて排除する教育機関なんて、普通に考えて、おかしいと思いませんか? 

 

 

 金沢大の廃寮めぐり、寮生が反対の署名4千筆を提出

金沢大学が今年3月末に廃寮とする方針を定めている学生寮について、男子寮の「泉学(せんがく)寮」(金沢市野町5丁目)の寮生らが27日、廃寮期限の再考や議論の場を求めた署名を大学に提出した。寮生らは昨年3月から署名活動を始め、約1年間で4132筆の署名が集まったという。

退寮に従わない学生に処分示唆 廃止方針の格安寮めぐり、金沢大

「退去しない場合には、何らかの不利益処分がなされる可能性があります」

 2022年11月28日、男子寮の「泉学(せんがく)寮」(金沢市野町5丁目)の寮生に1通のメールが届いた。

 

 

 

 

 

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