2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
差別的身分制度を解消することなく、すなわち不安定な立場のおかれた他の人たちを置き去りにしつつ「その名において」特定の者だけがアクセスできる特権に与ること、制度を壊すと言いながら、自分たちへ利益をもたらすそういった制度は都合よく温存させ、む…
西澤哲『子ども虐待』(講談社現代新書)より 性的虐待の影響は、子どもの年齢、虐待行為の頻度や期間、暴力などによる強制の有無、被害のタイプ(特に性器や肛門への挿入の有無)、子どもと加害者の関係など、さまざまな要素の影響を受ける。 ここでは、「…
スーザン・ブラウンミラー『レイプ・踏みにじられた意思』(幾島幸子 訳、勁草書房)より 女性が女性について書いた近年の作品には、子どものころ受けたいたずらやレイプの記述が驚くほど多くみられる。 姪にあたるクウェンティン・ベルによるヴァージニア・…
キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子、菊池美名子、湯川やよい 訳)より 子どもを自分の夫に虐待された母親なら、「子どもの養育についての自分の権利を知りたい」と真っ先に考えるでしょう…
女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 性的虐待を発見するきっかけには、被害者側のもの(非性器損傷・行動・特性)と加害者側のもの(行動・特性)と家庭に関するものが存在する。 (1) 性的虐待における損傷の特徴…
キャロライン・M・バイヤリー『子どもが性被害をうけたとき お母さんと、支援者のための本』(宮地尚子、菊池美名子、湯川やよい 訳)より 1 警察に対する通告は、あなたかほかの関係者が行います。近親姦の事件では、通告が学校関係者や第三者によりなされ…
ロジャー・J.R.レヴェスク『子どもの性的虐待と国際人権』(萩原重夫訳、明石書店)より。 法制度は、問題解決への社会的対応を大きく限定する。いくつかの法制度形態が存在するけれども、それらは、両極端の間で運用される傾向にある。 一つの極は、無…
ピア・メロディ『児童虐待と共依存 自己喪失の病』(内田恒久 訳、そうろん社)より 境界システムは目に見えない、三つの目的を持った象徴的な「壁」である。その目的は①私たちの領域へ他人が侵入したり、私たちを害することを防ぐこと②私たちが他人の領域へ…
リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 13歳の少年をレイプしたと法的に訴えられている37歳の女性の裁判を真剣にとりあげたある新聞記事に、女性と少年の間の性行為に対する社…
森田ゆり『子どもと暴力 子どもたちと語るために』(岩波現代文庫)より岩波現代文庫版あとがき、デービッド・フィンケルホーとの対談 森田 司法面接とは主として性的虐待を受けた子どもから、①虐待が虚偽の訴えではなく、実際に起きたことを確認するために…
リチャード・B. ガートナー『 少年への性的虐待 男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(宮地尚子ほか訳、作品社)より 成人女性が少年の性を目覚めさせるという映画描写 Johanek(1988) が述べるように、「大衆文学は、年上の女性によって大人の性へと導かれ…
アニタ・ロバーツ『自分を守る力を育てる セーフティーンの暴力防止プログラム』(園田雅代 監訳、金子書房)より 性的暴行 非難と責任についての明瞭な像 ジェンダーにもとづいた思い込みには、女性のもつ性的な力に関するもの、ならびに「男性は性衝動の奴…
女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より 1996年の性犯罪規定の改正でもっとも重要な点は、性犯罪の規定を、社会的法益に対する罪から、個人の性的自由に対する罪に大きく改めたことである。それは、性的自由の保護を実…
ジュディス・ハーマン『父-娘 近親姦 「家族」の闇を照らす』(斎藤学 訳、誠信書房)より バックグラウンドや理論的方向性がどのようなものであれ、近親姦が起きている家族の問題に広範囲にわたって取り組んできた専門家は、本質的な三点では一致しているよ…
女性犯罪研究会編『性犯罪・被害 性犯罪規定の見直しに向けて』(尚学社)より [日本における性犯罪の公訴時効の現状] 性犯罪の公訴時効期間は現在、次のとおりである。強姦罪、準強姦罪、集団強姦罪は10年(刑事訴訟法250条2項3号)、強姦致傷罪は15年(…
森田ゆり編著『沈黙をやぶって 子ども時代に性暴力を受けた女性たちの証言』(築地書館)より この本を一読して、なんだこの程度のことで痛いだ生きづらいだといっているのか、世間にはもっとひどい目にあっても黙って耐えて生きている人間がいっぱいいるん…
グループ・ウィズネス編『性暴力を生き抜いた少年と男性の癒しのガイド』(明石書店)より 性暴力とは、自分のからだだけでなく、心も魂も侵害される加害行為です。性暴力は大きなトラウマで、心とからだや強い衝撃を与えます。場合によっては殺されたり、ケ…
ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』(中井久夫 訳、みすず書房)より 多くの被虐待児は大人になれば逃れられ、自由になれるという希望にしがみついている。しかし強要的コントロールという環境の中で形成された人格は成人の生活によく適応できない。 児…