The Reverberator

EFFORTLESS FRENCH

クィアの活動家を装いLGBTをオルグしようとするペドファイルをゲイは憎んでいる、事あるごとに同性愛をペドフィリア擁護の証明のために軽々しく使用する「そういう連中」に対して殺意すら覚える

これまでツイートやブログで何度か引用してきたアンドリュー・ヴァクスの『クリスタル』について、この本から学んだことを書いておきたい。いちおうミステリ小説なので、複数の事件が絡み合って「真相」に辿り着く体裁になっており、ある出来事の意味が前半と後半の最後ではまったく別の解釈になってしまうこともある。しかしこの小説で描かれたエピソードによって、以前書いた『赤毛のストレーガ』同様、僕の思考回路、行動指針が完全に決定づけられた。少なくとも「ある種の議論」において性善説を取ることができなくなった。それは、『クリスタル』という小説のエピソードを彷彿とさせる「クィア理論を用いた議論」に出くわしてしまったからだ──「なぜ?」という疑問に対して、「方程式」が立てられ、「特殊解」を求めることができるからだ。

 

釣り糸も張りめぐらせておいたが、何も掛からなかった。変態を引っかける仕事をしていると、ゲイを憎む人間に数多く会うのだが、ゲイを隠れ蓑にしているやつらにも数多く出会う……”少年愛の男”。やつらはホモセクシュアルの仮装をして、ゲイの示威パレードの行進に加わったりする──少年とファックするのが、成人の男とセックスするのと同じであるかのような顔をして。

 

アンドリュー・ヴァクス『クリスタル』(菊地よしみ 訳、早川書房) p.107

 

『クリスタル』では、まず同性愛者をリンチし殺した3人の男、同性愛を矯正すべきだと主張するキリスト教の聖職者、同性愛の学生が住む寮に嫌がらせをした学生らが惨殺される。犯人は「ホモ・エレクトス」と名乗る人物で、これは同性愛者を迫害する者たちへの報復であると声明を発する。

ここまではよくある復讐の物語だろう。しかしヴァクスのこの本では違う。「ホモ・エレクトス」の次のターゲットが小児性愛者になるからだ。「ホモ・エレクトス」のロジックでは小児性愛者こそが同性愛者の迫害の原因、およびそれに加担していることになる。同性愛者へのヘイトクライムは「ペドフィリアと同一視されること」が原因であり、小児性愛者自身がそれに加担している──「ペドファイルは同性愛者と〈同じ〉セクシュアルマイノリティ」であり「ペドフィリアに対する世間の態度はかつて同性愛がされたことと〈同じ〉である」ようなことを嘯くことで。

 

ゲイを迫害する方法はいろいろある。ホモへの暴行が顕著な例だが、それで相手を根こそぎにはできない。ホモセクシュアルへの肉体的攻撃は社会一般に黙認されているばかりではなく、ひそかに奨励されてもいる。以上は周知の事実だ。

知られていないのは、ゲイへの憎悪の多くの部分が、小児性愛者はたがのはずれたホモセクシュアルだという、完全にあやまった確信によって油をそそがれているという事実だ。ジャーナリズムがそのペテンの共犯者だった。この声明文が掲載されている新聞がかっこうの例になる。”同性愛的児童虐待で教師逮捕”という見出しを覚えているか? 記事内容は、幼稚園の先生と五歳の男の子だった。読者は胸に手を置いて考えてみるがいい──これはジャーナリズム業界にも向けた言葉だ──もし犠牲者が幼い女の子だったら、見出しは”異性愛児童虐待!”と叫び立てただろうか? 答えは明らかだ。その大部分は無知に起因するが、一部は意図的なものなのだ。

小児性愛者どもは慎重に”ゲイ”をよそおっていて、大人同士の合意による同性愛への社会の容認を、子供のレイプにまで延長しようとしているのだ。いったい何人の小児性愛者が、”ゲイの活動家”を隠れ蓑にして、”まずユダヤ人がホモになった”という昔ながらの流言を利用してゲイを怯えさせ、”共同戦線”といったナンセンスに引き込んできたことか。

ゲイは、幼児を犯すやつらを憎んでいる、その点は異性愛者と何ら変わりがない。われわれのなかには、さらに憎んでいる者もいる。慎重に考慮した結果、”ホモセクシュアル”を自称する小児性愛者どもは、ホモの虐待者とまったく同罪だとの結論に達した。いまや、そいつらも同じ代償を支払うことになるのだ。自分の使う言葉に気をつけるがいい!

 

『クリスタル』 p.159-160

 

ホモ・エレクトス」は主要な「ペドフィリア団体」に警告する──直ちに、「同性愛とペドフィリアの同一性を唱えるロジック」を止めると宣言し、それを公表しろと。

ペテン師ども、用心するがいい! おれは改心者を求めてはいない。おれは狩人であって、説教師ではない。今回の四人が標的となったのは、ゲイに対する、レズビアンに対する、バイセクシュアルに対する罪のためだ。

 

ホモセクシュアル小児性愛を結びつけようという人間は、罰せられることになる。それが誰であれ。

 

同性愛恐怖がゲイの虐待を産みだす。で、いまや、ゲイの虐待は死をもたらす。簡単な方程式だ。ルールはすでに説明した。今後二週間以内に、主要な小児性愛組織から、”ホモセクシュアル”との同一化を否定する見解が公表されなければ、事態はさらにエスカレートするであろう。

 

『クリスタル』 p.280-281

 

ペドフィリア団体」は「ホモ・エレクトス」の要求に応えなかった。「ホモ・エレクトス」は、ペドフィリア団体が途上国への買春ツアーのためにチャーターした飛行機(米国のペド団体は金があるらしい)を太平洋上で爆破し、「子供の敵、同性愛者の敵」を一挙に始末する。

 

小児愛者というのは、インテリほど自分の行為を巧みに正当化するものだが、ほんとのところは実に簡単なんだ──自分のやっていることは間違っていると承知の上でやっているんだ。

 

アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』 

 

「あんた、ほんとに彼らを憎んでいるのね、違う?」
「誰を?」
「子供の敵」
「憎まないやつがいるか?」と答え、その言葉を無視した。

 

アンドリュー・ヴァクス『クリスタル』 p.293-294

 

 

 

 

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