The Reverberator

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英国 Mermaids、「ペドフィリア擁護者」がメンバーであったことを謝罪、当該人物との関係を精算へ ~ これは対岸の火事じゃないだろう、日本でも「クィアとペドフィリアの関係」はずっと指摘されている #LGBT活動家はペド擁護しているクィア活動家と手を切れ

英国の Mermaids は、ペドフィリア団体「B4U-ACT」と接点のあったジェンダーセクシュアリティ研究者ジェイコブ・ブレスロウと Mermaids の間の不適切な関係を謝罪した。ブレスロウは Mermaids の評議員であったが、2011年に「B4U-ACT」の会議に参加していたことを『The Times』紙が突き止め、英国内で大問題になっていた。報道を受けブレスロウは Mermaids の評議員を辞任した。 今回の件で、Mermaids の対応は、「子供と接する機会のある性的少数者の慈善団体」としての責任のあり方を世間に対し端的に指し示したといえるだろう。

Mermaids apologises for trustee who quit over paedophile group

Mermaids trustee quits after paedophile aid group speech emerges

Mermaids trustee quits over paedophile-group links - BBC News

 

 

「B4U-ACT」とは何か。
性犯罪歴のあるマイケル・メルシャイマーによって2003年に設立された米国のペドフィリア団体。ペドフィリアを「minor-attracted people、子どもに性的魅力を感じる人たち」と呼ぶこと(そのように「置換」すること)で、ペドフィリアに対する世間体を取り繕うことを政治的戦略にしているようだ*1

 

ジェイコブ・ブレスロウによる「ペドフィリア擁護」はどんな戦術を取るのか?
〈非規範的な性〉という「クィア理論」でお馴染みの「魔法のような術語」を駆使し、「ペドフィリア擁護のロジック」を組み立てていくようだ。そこにはこの「魔法のような術語」の「使用を指定する」ことによって(それを前提にし、この言葉の使用の下で議論を展開することを強要し、それを自明なものとする)、それによって議論の主導権を握り、相手の思考を徐々に支配していこうとする動きも含まれる。
逆に考えれば、〈非規範的な性〉というものは、ペドフィリア擁護を〈その極限〉(最終的な目標、その隠れた本丸)として、「クィア理論」の中に組み入れたとしか思えない。だからクィア理論で扱うクィアとは、それを突き詰めると、いつか、どこかで、ペドフィリアに向かって収束するだろう。

 

Mermaids 側の弁明

  • ブレスロウとの関わりは間違いだった。
  • ブレスロウは Mermaids の評議員に任命されるべきではなかった。
  • ブレスロウの素性を知った今、彼が Mermaids のメンバーであったことに恐れおののいている。
  • 「B4U-ACT」やブレスロウの主張は Mermaids の価値観と完全に相反する。
  • 若年者の安全こそが私たち Mermaidsの最優先事項である。
  • 外部の専門機関に委託しメンバーの採用プロセスを再検討する。
  • このニュースによって世間に対し不安や懸念をもたらしたことを深くお詫びする。

 

指摘された Mermaids 側の問題点
ジェイコブ・ブレスロウの名前をGoogleで検索すると、彼のペドフィリアに関する言及やペドフィリアの擁護の記事が上位にランクされる。Mermaids 関係者はブレスロウの素性を本当に知り得なかったのか?

 

今回の件で Mermaids が被った社会的制裁
The National Letter Community は Mermaids への資金提供を一時停止した。

 

 

日本においてこの「Mermaids 問題」は対岸の火事なのか?
ジェイコブ・ブレスロウのエピゴーネンは日本にもすでに複数存在しているだろう(それに感化されたものも含め)──私たちはそう思っているし、事実、私たちはそういう場面にすでに何度も出くわしたことがあるし、それは君たちも十分に知っているはずだ。日本において「クィアペドフィリアが含まれるか問題」の原因をつくったのは、いわゆる「反LGBT」の立場を取る者だけではないこともを私たちは知っている──それは「クィア自身」だ。もし、「クィア」が「反LGBT」であるならば、それは当然だろう。 そんなことを君たちが──「私たちがそれを知っている」ことも含め──知らないわけはないだろう。一緒につるんでいる相手の活動、SNSでの言及等を知らないなんて誰が信じると思うのだろう。Googleで「クィアペドフィリア小児性愛)」を検索してみるがいい。メディアが本気になれば──『The Times』がそうしたように──例えば、かつて「ペドフィリアクィアに含まれる」と記し、後に世間体を意識して削除した文書ぐらいなんていくらでも容易に突き止めることができるし、何かもっと「決定的な証拠」を突き止めるに違いない。Mermaids もそうであったが、「子供と接する機会のある性的少数者の慈善団体」の代表者やそのメンバーが「ペドフィリアの擁護で知られている人物」と接点を持つことのリスクを十分に考えるべきだ。普通に思うだろう、なぜそんな人物と接点があるんだ、と。君たちはそれにどう応えるべきなのか準備しておいたほうがいいだろう。


ジェイコブ・ブレスロウは大学院生だったときに「B4U-ACT」の会議に出席し「ペドフィリア擁護」の講演を行ったという。ときおり「クィア理論は(極論を言えば)クィアな視点*2さえあれば当事者の存在は不要」みたいな「信条告白」が囁かれるが、ブレスロウは、研究者としてのかなり早い時期に「ペドフィリア当事者」と接点をもっていた。どちらかが先に交流を持ちかけたんだろう。「ペドフィリア当事者」が「ペドフィリア擁護者」に声をかけたのだろうか、あるいはその逆か。注意しておきたいのは「クィア理論は〈ここ〉まで射程を広げている」と発言することは、「〈そこ〉にいる該当者」に向けて何かメッセージを送っていることも含んでいる、と言えることだ。同じことだが「〈αのその先へ〉、という議論」は「αのその先の、さらに先の、またさらにその先の……〈その極限〉へ向かう議論」を含んでおり/それを目指していることも、やはり注意しておくべきだろう。

 

 

【関連】

*1:普段はウェブサイト等でこういう情報はきちんと確認するのだが、当該サイトを見ると不愉快になりそうなのでニュース記事からある程度、適宜、推測した。以下も同様

*2:クィアな視点」だとか「クィアな感性」だとか、正直、何を言っているのかわからない。循環することなしに、これらの言葉を説明できないだろう。すなわちそこにはごまかしがある。