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第3次レバノン侵攻」は不可避か

2015年 02月 6日 ロイター

 

イラン、ヒズボライスラエルの関係は現在、重要な過渡期にある。 

イスラエルにとって懸念すべきは、過去数週間でヒズボラとイランが関係を深めていることだ。ヒズボライスラエル軍を攻撃した前日、ヒズボラの指導者ナスララ師は、イラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊を率いるスレイマニ司令官と会談している。2人はこれまでに何度も会っているが、公表されたのは今回が初めてとなる。  

そのことを考慮すれば、今回の会談はいっそう注目に値する。スレイマニ司令官は、イスラエル軍に殺害されたヒズボラの戦闘員に敬意を表し、ムグニエ元司令官の息子の墓を訪れた。

ヒズボラはまた、最近発表した声明の中で、国連の仲裁で守られてきた非公式な停戦をこれ以上認めないと宣言。これまで何年も守られてきた停戦という事実上の合意を暗に拒否したことを意味する。

ナスララ師は、適切だとみなされた場合はいつでも、ヒズボラは報復する権利があると強調。「戦争を仕掛けられれば、われわれはためらいもなく受けて立つ」と警告した。

当然、イスラエルのネタニヤフ首相も黙ってはいないだろう。ヒズボラ国連が画定した境界ライン(ブルーライン)からだけでなく、ゴラン高原でもイスラエルと戦うとナスララ師が宣言したことで、イスラエルの戦略的位置は危険なまでに悪化している。言い換えれば、イスラエルと戦うヒズボラの前線は、地中海からシリア国境にある係争中のゴラン高原まで拡大したことになる。

イスラエルはそのような脅威を放っておけないだろう。それに、自国の兵士、とりわけ中堅の軍人が殺害されて、イスラエルが報復にひるむわけがない。

とはいえ、ネタニヤフ首相の選択肢は限られている。ヒズボラへのさらなる攻撃は、06年のレバノン侵攻を凌ぐほど大規模な戦争へとつながる恐れがある。加えて、イスラエルは3月17日に総選挙を控えている。その点においても、ネタニヤフ首相は戦争に巻き込まれたくないと考えているかもしれない。

それでもイスラエルには追い風が吹いている。06年のレバノン侵攻時とは違い、ヒズボライスラエルとの戦いにおいて、アラブ諸国からそれほど支持を得られないだろう。スンニ派とシーア派の派閥対立が深まるなか、シリアのアサド政権を支持するヒズボラに対してイスラエルが攻撃したとしても、それをとがめるアラブの国はほとんどないだろう。要するにヒズボラは、危険なゲームに興じているのだ。

 

 

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0LA02D20150206